メッセージ |
「医は仁術なり」。かつて医学部進学を決めた高校生の私に、当時の校長先生が色紙に書いて授けてくれた言葉です。広辞苑には、「医は人命を救う博愛の道である」と解説されており、長く医療倫理の中心的標語として用いられてきました。振り返ると、これが私の医師としての...(続きを表示)原点であり、第一歩であったと思います。医師に成りたての研修医時代、「仁術」を実践しようと一生懸命だった頃に出会った患者さんたちが、私に医師としての責任感や自信を与えてくれ、私自身を育ててくれたと思っています。研修医だった当時、何もできない自分のふがいなさに自信を失い、何度も医師を辞めようと思いました。つらくてつらくて、病棟で人知れず涙を流したこともありました。そんな時、私に「あなた、いい医者になるわよ」と言ってくれた患者さんがいました。その方は、残念ながらご病気で亡くなられましたが、その時の言葉に支えられて、私は今も医師を続けているのだと思っています。近年、医療費の増大、病院の経営難、過疎地の無医師、患者タライ回し、医療訴訟など、医療界は混沌とした時代に突入し、「医は算術なり」などとパロディー化されるありさまです。こんな、自分を見失いそうになる時代だからこそ、もう一度「医は仁術なり」という言葉に回帰すべきと自分自身を戒めています。平成28年 新規に、まるこハート内科クリニックを立ち上げる決意をしました。クリニックが多くの人の役に立つとすれば、これまで私を育ててくれた患者さんたちへの恩返しにもなるのではないかと思っています。 |